空気中の酸素は食品保存に悪影響を与えることが多く、油脂、ビタミン、色素、香気成分などの酸化の原因となります。カビや害虫も、酸素によってその生命が維持されます。 ガス充填包装に使用されるガスの種類 不活性ガスの種類としては、N2ガス、二酸化炭素(炭酸ガス、CO2)、特殊な用途として酸素(O2)ガスがあり、単体もしくはこれらの混合ガスが、目的によって使い分けられています。 窒素ガス(N2) 性質 体積比で空気中の78%を占める。無味?無臭?無色のほとんど反応性のない不活性ガス。無害?無毒。 目的 空気中の酸素を除去するのが目的。酸化防止、変退色の防止、香気保存などに使用される。カビは細菌や酵母と違い、O2 がなければ生存できない。酸素濃度を1%O2以下に下げると生育が著しく抑制され、0.1%O2では少数の限られた菌種のみがわずかに生育できるだけである。 用途 油菓子、ナッツ、削り節、日本茶など。 二酸化炭素ガス(CO2) 性質 水にも油にも溶解し、水溶液中においては炭酸によって微酸性を呈し、食味に影響することがある。 目的 静菌?防虫作用があって、好気性菌、カビ、害虫などの発生を抑える力がある。袋内の二酸化炭素濃度が30%で一応の効果があり、50%以上ではほとんどのカビは防止できる。 用途 生肉、ウインナーソーセージ、和?洋生菓子、半洋菓子、豆類、穀類など。 酸素ガス(O2) 性質 体積比で空気中21%を占める。無色?無臭。活性気体。 目的 肉のきれいな赤色は、酸素と結合した、オキシミオグロビンによるもので、鮮魚、生肉のきれいな赤味を発色させるために酸素を封入する。 用途 鮮魚、生肉。 混合ガス 性質 N2+CO2や、CO2+O2などの混合ガス。 用途 二酸化炭素は、窒素ガスに比べて、プラスチックフィルムをよく透過するので、二酸化炭素100%置換では袋外にガスが散乱して真空状態になりやすい。そこでフィルムを透過しにくい窒素ガスと混合し、減圧状態になるのを防止することも多い。また、酸素ガスで肉類の発色をきれいにし、二酸化炭素ガスで保存性を出すために酸素ガス+二酸化炭素の混合ガスを用いることもある。 ガス充填の基礎知識
つまり、食品の雰囲気から酸素をなくすことによって味覚、栄養価、色調、香りなど、食品として不可欠な要素を失うことなく、できたての新鮮さを保持することができるのです。また、食品の劣化による食中毒等のクレーム防止や信頼関係の維持の目的においても、包装パック内の酸素ガス濃度の管理を行うことが、食品の品質管理につながっています。
<ガス充填包装の保存効果>
●油脂成分の酸化防止
●ビタミンCなど、有効成分の保存
●香気成分の酸化による異臭?退色の防止
●色素の酸化による変色?退色の防止
●カビ、好気性菌、酵母による腐敗?発酵防止
●害虫の防止